つなぐ(実践)5 在外派遣の恩返し 

私は、平成10年度から3年間、高雄日本人学校(台湾)で勤務していた。帰国後にまとめた拙書「フォルモサの祈り」において、こう書き記している。

令和5年度より、千葉大学にお世話になり、担当する科目「グローバルフィールドワークⅠ」において「台湾双方向交流プログラム」を実施することとなった。(既存のコースに、教職大学院のものを追加した形で実施)私自身を育ててくれた第二の故郷「台湾」に学生を引率し、「日本統治時代の歴史」について考えながら、日本人の姿を見つめ直す機会にしたいと考えている。まさに、在外派遣の文部省(当時)選考で自分自身が語った「架け橋」の活動となる。「恩返し」については、私と同じ「在外派遣」というキーワードでつながるメンバーと力を合わせてより実効性のある取組を実施していきたい。

1つめは、在外派遣時代の発信

在外派遣期間中は、国内にむけて「高雄の太陽」という報告文書を学期に1回ずつ発信していた。また、現地の日本人会の広報誌「高雄プレス」に紀行文などを投稿していた。

現地で発信した「台湾で出会った人たちについて」の文章を帰国前に1冊の本にまとめた。それが、「台湾の出会い」である。「はじめに」を抜粋して紹介する。併せて、当時の社会科学習の教材として開発した「社会科三部作」についても紹介する。

2つめは、帰国後の発信

帰国後、派遣の記録として本をまとめたくて、国際理解教育シリーズを発刊している全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会(全海研)に相談した。特別の計らいをいただき、「フォルモサの祈り
~台湾・高雄日本人学校の贈り物」を国際理解教育選書シリーズの1つとして創友社より出版していただいた。また、全海研の活動を通して様々な場面で発信する機会を得た。帰国後の発信3つを紹介する。

3つめは、中学生の海外派遣を生かす還元システムの構築

在外派遣の恩返しと位置付けて、帰国後に継続して取り組んだのが、「国際理解教育の実践を広げていくこと」だった。所属する教職員の自主的研修会の場での活動まとめを紹介する。文部省(当時)の海外赴任者の選考(面接)において、こんなことを質問されたことを思いだす。「あなたは日本と海外の架け橋になりたいと書いていますが、架け橋とはいったい何ですか。」その時、答えにつまった。何気なく使っていた「架け橋」という言葉の意味をよく理解していなかったのだ。恥ずかしながら満足な返答ができなかった。「架け橋」とは人間そのものである。想いを持った人間同士が「架け橋」として心のキャッチボールをする。そこに「出会い」が生まれる。併せて、この活動をまとめた「千葉大学教育実践研究」についても紹介する。

4つめは、千海研との連携

私は、現在千葉県海外子女教育・国際理解教育研究会(千海研)の会長を務めている。在外派遣の担い手となる後輩の育成等を行いながら、派遣教師が持てる力を発揮して貢献できるような方策を考えている。令和5年度は、千葉大学と連携しての活動をスタートさせた。ここでは、派遣教師アンケート(千海研)の集計結果をご紹介する。

5つめは、台湾高雄友の会

今、最も力を入れたいことといえば、目に見える支援=財政上の支援である。在外教育施設の教育の質を維持・向上させていくのは現地の努力だけでは追いつかない状況である。以前、台湾南部の水害支援で結成した「台湾高雄友の会」をここで再結成する。志を同じくするメンバーとともに具体的な支援に結び付けていきたい。

これらに続けて、今後も実践を紹介してきたいと思っている。以下で紹介する「つなぐ(実践)5」をご覧になり、関連することががある方は、ご連絡をいただきたい。(matsui@chibamatsui@chiba–u.jpu.jp)「つなぐ(実践)5」から広がったもの等については、次の「つむぐ(発展)5」のコーナーで紹介していく。

具体的な実践

実践5-1 在外派遣時代の発信

① 台湾の出会い

② 社会科三部作

実践5-2 帰国後の発信

① フォルモサの祈り 台湾 高雄日本人学校の贈り物

② 月刊 海外子女教育N.387N.387 今月の顔より

③ 全海研 広報ひまわり 「記録することのすすめ」

実践5-3 ①中学生の海外派遣を生かす還元システムの構築

②千葉大学教育実践研究2266号–88(松井 聰・土田 雄一)

実践5-4 千海研との連携(HPHPリンク先を含む)(参照 実践1
学校の国際化)

実践5-5 台湾高雄友の会(学校支援活動)

参考 千海研HPHP(千葉県海外子女教育・国際理解教育研究会)

全海研HPHP(全国海外子女教育/国際理解教育研究協議会)

 

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