「一人から始まる4人組の活動」は、これまで「ひらき・つなぎ・つむぐ」学習として実施してきた。
この学習方法は、在外派遣(平成10年~12年度台湾の高雄日本人学校)を終えて帰国した後、派遣教員等が集まる研修会の課題別分科会などを運営していたときに考え出したものである。当時、「提案者」に質問や意見を伝える人は、いつのまにか「自分自身の話」をし始めてしまって、発表者が「発表して良かった」と感じられない場面が散見された。どうにか発表者のための会にならないものかと考えて、実施した方法が「提案者に対して1対1で意見・感想を伝える」という方法だった。全ての提案の最後に提案者が前に立ち、参加者は1列になり順番に1対1で対話する時間を設けた。こうしたことで「発表者」の満足度はこれまでと比べものにならないほど高くなり、参加者の笑顔も増えていった。
発表者
・1対1で感想を伝えてもらい「聞いてもらえた」と実感できた。
・「1対1でのアドバイスはためになった」と発表者自身の満足度があがった。
参加者
・発表者と直接話ができて、質問することができた。
・参加者全員が発言の場を与えられた。
この意見交換の方法は、私が担当する研修会での定番の形となった。
これを授業に応用したのが、「ひらき・つなぎ・つむぐ」学習である。その始まりは「何のためにやるのか」について省察し、「一人一人の存在を大事にすること」をねらって意見交換の方法を工夫したことだった。この工夫は、「自己決定・自己存在感・共感的な理解」のある「生徒指導の機能」を生かした学び方にも通じるものだった。
「ひらき・つなぎ・つむぐ」学習の方法は、
ひらく・・・自分の考えを整理し、発信する。
つなぐ・・・相手の意見を聞き、自分の意見と比べながら理解する。
つむぐ・・・新しい行動や価値を仲間と一緒に生み出していく の3段階とした。
この学習方法は、多くの教科・領域において実践してきた。現在、千葉大学の授業においても、その有効性を確かめながら取り組んでいる。本実践は、「ひらき・つなぎ・つむぐ」=「生徒指導の機能(自己存在感・自己決定・共感的理解)を活かす」として、当時の所属校の校内研究をまとめた実践論文「生徒指導の機能(自己存在感,自己決定,共感的理解)を活かした教育活動の有効性~大洲中学校研究推進委員会PDCAの挑戦~」にも紹介し、平成24年度千葉県教育公務員弘済会の「教育実践研究論文・団体の部」で最優秀賞をいただいたものの発展形である。
この「つなぐ(実践)2 一人から始まる4人組の活動」では、この活動の実践例や感想などを紹介する。
1つめは、「一人から始まる4人組の活動」の大学生の感想
ひらく(提案)2 のスライドでご紹介した大学生へのアンケート(2回目)では、感想を記述する欄を設けてみた。アンケートに回答した118名のうち、感想を寄せてくれたのは109名。記載率は92%であった。大学生にとっても気づきのあったこの活動について、感想やまとめをご紹介する。
2つめは、「一人から始まる4人組の活動」の研修用動画
ここでは、リンク先を紹介する。千葉大学教育学部の教員一覧から入って、下のほうの教員養成開発センターの松井聰のページ「Works(作品等)」を押すとデータが添付されている。(パワーポイント自動再生データで音声付き、所要時間は9分)加えて、この研修用動画を見てくれた教職員の感想をご紹介する。ぜひ、皆様の身近なところでこの活動を実践していただきたい。
この2本に続けて、今後も実践を紹介してきたいと思っている。学んでいくうえで最も重要な「何のために学ぶのか・・・」を考えながら、学びを「ひらき、つなぎ、つむぐ」で深めていく。以下で紹介する「つなぐ(実践)2」をご覧になり、ぜひ自分も取り組んでみたいという方は、ご連絡をいただきたい。(matsui@chiba-u.jp)
「つなぐ(実践)2」から広がったもの等については、次の「つむぐ(発展)2」のコーナーで紹介していく。
具体的な実践
実践2-1① 「一人から始まる4人組の活動」 アンケート集計結果(大学生対象)
② 「一人から始まる4人組の活動」 アンケート集計結果(大学院生対象)
実践2-2① 「一人から始まる4人組の活動」 研修用動画(URL紹介)
実践2-2② 研修用動画を見て(主に現職の教員等からの声:一部抜粋)
参考 教職大学院の授業
公立中学校職員研修
高大連携事業